Love Slave

「お、お兄さん・・・・ですか!?」


だからこんなに酷似しているのか。でも、雰囲気は全く違う。椚先輩はぶすっとした外見だけど、優しさがある。
でも、お兄さんの方は意地の悪い笑い方をする。


「ったく、まいったぜ。親から頼まれて、大学の帰りに来てやったんだぜ」


「・・・あっそ」


お兄さんは私の存在に気付き、鼻で嗤った。


「暢気に女とデートか。いいよな、親に期待されていないお前は」


「・・・ふーん」


私は感づいた。椚先輩は一度もお兄さんと目線を合わせようとしない。それは、会長以上の仲の悪さを感じた。
毅然とした態度にムカついたのか、お兄さんは鬱憤を晴らすかのように少し声を上げて言い放った。


「俺がお前のために授業料の更新してやったんだぞ。それぐらいは感謝しろ。ある日突然家出したろくでなしが!!」


椚先輩が家出人?だから高級マンションで一人暮らしなんてしてるの?
そして、無反応を貫き通す椚先輩にお兄さんはちっと大きく舌打ちする。


「もう帰る。俺はお前と違って忙しいんだ」


「・・・じゃあな」


私はハラハラされっぱなしだ。
お兄さんは去り際、付け足すように暴言を言った。


「二度と帰ってくんじゃねぇぞ。お前はうちの一族の恥だ。どうせ、医者を継ぐつもりなんてないんだろ。せいぜい、一人で頑張んな。一族はお前の事なんて、誰一人として応援なんてしてないがな」


ハハハ、と高笑いして去って行った。


(何なのよ、あの人!!)


聞けば聞くほど腹が立った。私は一発ぎゃふんと言ってやろうと一歩前に出た。
しかし、即座に止められた。


「・・・放っておけ。こんなの、日常茶飯事だ」


日常って・・・・これが家にいた時も起こってたって事?


(これじゃあ、家出したい気持ちも分かるな)


医者って言葉が嫌な理由も分かった。小さい頃から色々言われてたんだろうな。



「・・・ここまででいいか」


「はい、ありがとうございました」