Love Slave

私の前で跪き、背中に乗るよう命じた。


「そんな、椚先輩の治療で痛みはないですし」


「・・・アンタ、見てて危なっかしい。何なら、昨日みたく身体を抱きかかえるか?」


「お、おんぶでいいです」


結局のところ、おぶってもらうことにした。これでまたお姫様抱っこされたら、周囲の刺々しい視線に耐えられない。というか、恥ずかしい。
もう授業は終わる時間だし、それより、この時間に保険の先生は戻ってこなかった。これで重病人が運ばれてきたらどうするつもりだったのよ。


ドキドキしながらも、椚先輩の背中に乗っかる。


「・・・掴まってろよ」


ぐんっと立ち上がると、視界が一気に高くなる。先輩の身長を考えたら、2メートル近くになる。なので、少し恐く感じた。
が、彼の視線はこの位置なのかと確認した。


歩くと、天井に頭をぶつかりそうになりかける。まだチャイムが鳴っていないおかげもあって、生徒とはすれ違わない。そういったことも計算済みらしい。


椚先輩の背中はやっぱり熱い。不思議な温かさがある。まるで、母親のお腹の中にいるような、懐かしい感じ。


(やばい・・・・眠くなってきた・・・・)


あまりに心地がいいので、睡魔が襲ってきた。寝てはいかんと懸命に瞼を見開くが、徐々に重たくなっていく。


うとうととしかけ、夢の世界へ誘われようとしたその瞬間。


ずどんっ


「!?」


急に下に下ろされてしまった。椚先輩が急停止する。


「ど、どうしたんですか?急に止まらないでくださいよ・・・・」


ひょこっと前を見る。そこに、一人の男性が立っていた。
かなりの美形で、その風貌は・・・・。


(先輩に似てる・・・・?)


「・・・・・・」


「要か。こんな所で会うなんて、何たる奇遇だ」


「先輩、この人は・・・・?」


「・・・兄貴」