この世界には榎国、羅国、緋国、秦国(しんこく)、鵡国(むこく)、夜国(やこく)の六つの国が存在していた。


 榎国、羅国、緋国は、自然が豊かな綺麗な国で、榎国を中心に三国が隣接している。

 緋国が日中に見る自然の美しさをもつ国であるならば、羅国は夜に見る自然の美しさをもつ国であり、榎国はその両方を有していた。

 それぞれの国は独立に存在していたが、切り離すことは出来ない関係である。


 そして、この三国とは対称的なのが秦国である。

 秦国は、科学が進んだ国であり、『造られたもの』が溢れていた。

 秦国と緋国は、隣接していて、緋国の領土を狙っていた為、秦国と緋国は敵対する関係でもある。


 ここは、そんな関係にある国のうちの緋国。

 皇帝である呉 駿瑛(ゴ シュンエイ)は、宮廷で仕事をしていた。

 そこへ側近の一人がやってくる。


「駿瑛様、羅国の劉 李瑛様より手紙が届いております」


 羅国からの手紙と聞き、駿瑛は書類から目を離し、側近に続きを促す。