「君、待ちたまえ。」



佐伯も時代かかったその言葉使いには苦笑したかったが、

その表情や言葉から感じられる気迫に興味を持った。


しかし、一度決めれば、
待てと言われたぐらいで待つつもりは無い京介。

全く無視して、大またで玄関へと向かっている。




「君は東条君、どうしてここに。」



京介が自分を追って来ている刑事たちを尻目に
玄関まで来た時、

学校へ来た木頭、佐々木の両刑事が戻って来た。



「掴んだ情報を知らせようと思って来てみたが、
ここではまだ事故の可能性もあると思っているらしい。

高校生が三人も死んでいるのに、
そんなのんびりした事を言うような警察などは
当てにしないことにした。」



京介は辺り一面に響き渡る、

澄んだ大きな声で木頭たちを見て言い放った。



「誰がそんな事を… 」


「あんたたちの上役と仲間たち。」



そう言い、自分を取り巻いている刑事たちを見回しながら
京介は無表情な顔をしている。


言葉だけを考えれば、
興奮して怒っているようだが、

この顔になるときは、
目の前の事柄には興味は無い、と言う意思表示だ。




「いや、さっきはすまなかった。
このとおりだ。」



と、追いついた佐伯が京介に頭を下げた。


高校生だと侮ったところがあったのも確か。

せっかくの情報提供者に失礼があったのは確かだ。


京介はその佐伯警部の態度で一応気は納まったが、
相変わらず、周りの刑事たちを見回している。

その目は、自分に非礼をしたのはお前達もだ、と言っている。


もちろん警部がそういう態度をとるならば刑事たちも…

そして京介は再び捜査本部へと戻った。