「それが桜本と外岡か。」
すかさず望月が大下の方を向いて確認している。
とにかく、知らなかったとは言え、増田のことは、
自分たちのグループの恥になるようならばボスの自分が、
という気持を出してくるようになっていた。
「いえ、あの二年生は…
確か五組の級長をしている奴です。
ほら、慶凛をすべってこっちに来たと言う教頭の息子ですよ。」
京介にとっては想定内の話だが…
やはりチーズ愛好者は他にもいるらしい。
京介たちの通っている高校の教頭は流山義美、
息子は義一、
有名私立の慶凛高校を受験して、失敗した後に
この暁高校へ補欠入学として滑り込んだ生徒だった。
そんな事は余計なお世話と言うものの、
同じ中学から来た生徒の口から洩れたのか、
いつの間にかに広く知られていた。
二年生の中ではいつも一・二番を争っている優秀な生徒と言う事と、
教頭の息子と言うのが災いしているのだろう。
大下の返答は… 京介にとっては有り得る事。
増田からチーズを買っていたのは桜本たちだけ、
と言う事の方が有り得ない。
チーズはドラッグとしては安価なものらしいから、
数をこなさなければ収入に繋がらない。
その時になって京介は改めて
チーズ売買人がにくくなってきた。
父が楽しみにしている卒業式、
初めて出席する学校がそんなもので汚された、と言う風に考えている。
だからこそ早く解決しなくては…
情報を持っていそうな奴は、誰でも構わない。
次のターゲットはその二年生だ。

