高木は教室にいる生徒達に、
二日前に転落死した吉岡に続き、
同じクラスの二年生、桜木と外岡の死を伝え、
不審死扱いされそうだからマスコミには勝手な想像で話をしないように、
と口止めをしている。
受験シーズン真っ最中の三年生にとっては関係ない、
と思っていたが、やはりそのニュースには動揺した様子だ。
その直後から隣の席の友達と
なにやらひそひそ話を始めている。
そして高木が何気無く校門に目をやると…
偉そうな歩き方をした望月が、
取り巻きたちを引き連れて
まさに校門から出るところだった。
「ちょっと聞きたいことがある。」
望月たちが校門から二百メートルほどの所にある
児童公園の前まで来ると、
いきなり京介が立ちはだかり行く手をさえぎった。
帰ったと思ったが、
京介はこの公園で
望月たちの帰りを待ち伏せしていたのだ。
不良と呼ばれるからには、
まともに学校にはいないだろうと思っての行動だ。
自分のことはどのように思っているのか。
はっきり言えば、この三年間、
完全に京介の方がサボっている。
が、自分のことは眼中に無い。
「お前、二組の東条だな。
俺たちに何の用だ。」
望月は横柄な態度で京介を睨みつけている。
一緒にいる四人の子分達も
同じような顔つきをしている。
「一組の増田はどうした。
お前たちの仲間だろう。」
京介は増田を待っていたつもりだったが、
どういうわけか姿が見えない。
教室で話していた奴はここにいる。
ということは一人だけ教室に残っていると言う事か。
京介は相手に相応しい
言葉使いをしているだけなのだが、
その相手は違和感を抱いたようだ。

