「やめて、京ちゃん、逃げるのよ。
この人達は危険よ。
私は大丈夫だから。」
さくらは必死に身をくねらせながら京介に声をかけている。
京介が強いのは分っているが、
この男たちはみんなナイフを握っている。
刺されたら… そんな不安が胸をよぎり、
さくらはこの場所に京介を誘った事を後悔している。
通行人で賑わう大通りを歩いていればこんな事には…
誰の差し金かも分っている。
さっきのあの倉本だ。
いくら誘われてもいつもやんわりと断わっているさくらが、
京介と一緒にいるのを見て、
たとえ学生服を来た子供っぽい京介でも、
あの男の目には一人前の男に見えたのだろう。
それで、脅して手を引かせようとしているのだ。
私と京介の間には特別な絆があると言うのに…
とにかく京介に何かがあっては大変だ。
お父さんも私を許してくれない。
今までも何度となく京介に助けられて来たが、
その時のさくらは何故か胸騒ぎを覚えていた。
しかし、逃げろ、と言われて逃げるような京介ではない。
自分の大切な女がひどい目に遭うかも知れないと言うのに
逃げられるわけは無い。
第一、さくらさんにこんな事をする奴らを
許すわけにはいかないではないか。
相手がどんな男であろうと、
どんな武器を持っていようと負けることは想定外だ。
が、三人は難なく倒したが京介が、四人目と向き合った時だった。