天使と野獣


そして、これこそ秘密中の秘密だが… 


京介が高校生になった頃から、
二人は練習試合請負業のようなモノを始め、

時々は海外へも出かけていた。


初めは強い相手と戦いたいと願う京介に、
相馬が相手を探していただけだった。


それは公式な試合ではなく、

日時と場所もその場限り、
どちらかが降伏するまで、と言う真剣勝負だった。


その内に京介の強さがその手の裏世界で評判になったのか、

色々なところから、
大事な試合の前に強い相手と練習試合をしておきたい、と言う、

願っても無い話が飛び込むようになって来た。


そしてそれは自ずと高額な報酬を伴うようになり、

京介も修行のつもりで闘っている。


公には出来ない話だが、

この地球上には思いも寄らぬことも多々あるらしい。


そして、どんな相手にも怯まず果敢に闘う京介の姿に、

いつしか付いた呼び名がウインド・タイガー【風虎】だ。


またまた秘密だが… 

京介の秘密の通帳には目が飛び出るほどの額が入っている。


このことは栄も知らないことだった。


たまに京介が数日家を開けても

相馬大二郎と一緒なら心配は無い、と栄は思って来ている。

現に、頻繁には会わないが、
大二郎と栄は整体についての良き協力者でもある。