ストロベリーフィールド

コンビニから戻ると、テーブルにおにぎりの入った袋を置いた。
翔と和希は待ってましたと言わん許りに、おにぎりを袋から出した。

「ツナマヨは?」

翔は袋の中身を全部出すと、台所でお茶を飲む私に振り返り言った。

「あれ?明太子じゃなかった?」

翔は、私の言葉に溜め息をつくと、まぁいいかと食べ始めた。


私は翔の横顔に、優しく抱き締めてくれた温もりを重ねていた。
今でも、あの時の温もりは鮮明に覚えている。



「じゃあね」

「おう」

私と和希は昼前に、翔の家を後にした。
大きな鞄を抱えた和希の後ろから階段を下り、自転車に乗ろうとした時、横を通り過ぎた男から、爽やかな香りがした。
それは昨日、翔から放たれていたものと同じ。
偶然かと思いながらも、視線は男を捕らえて離さない。
すると、男は翔の部屋のチャイムを鳴らし、中へと入って行った。

「行くぞ」

和希の急かすような声に、慌てて自転車に乗った。
私は、和希の背中にもたれながら、翔の部屋にあった焼酎を買った"友だち"と
翔と同じ香りを放ち、部屋へと消えていった男を繋げていた。
男が翔の部屋へと入って行く姿が、どうしても"友だち"には見えなかったのだ。

「ねぇ、翔って付き合ってる人とかいるのかな?」

「今はいないだろ。少し前まではいたみたいだけどな」

突然の問掛けに、和希はあっさりと答えた。

「年上で、あんまり会ったりできなかったって言ってたな。会ったら優しくされて、大切にしたいと思うけど、実際、都合よく使われてるみたいだって悩んでた」

和希は私が聞く前に、話してくれた。
和希の言葉に耳を傾けながら、翔と私とをダブらせていた。

翔は、彼との関係に悩み、辛い想いをしていたから
私と啓太の付き合いにいいイメージを持たなかったのだろう。
きっと、翔も私に"自分"を重ねていたんだ。
私の事を思っていたんじゃない。
自分を見ているようで辛かっただけなんだと思い、勝手に落ち込んでいる自分がいた。