秋とは正反対の黒髪。 切れ長の瞳。 思い出した。 「長谷川君?」 彼は中2の時同じクラスだった長谷川君だった。 「春ちゃん、引っ越したって噂だったよ」 目を丸くしながら、長谷川君は興奮気味に言葉を重ねる。 「ううん、まだいるよ」 「高校は?行ってないの?」 「うん。中学もろくに行ってなかったし」 時間を忘れて話す。 後ろに客が来てしまったので、外で待つことにした。 もうすぐバイトの時間が終わるらしい。