日々増えていく傷に気付く人はいなかった。 あの人は必ず、見えないところに傷をつけるから。 腹、背中、髪で隠れてしまう頭や首筋。 そして、“ココロ”。 プールの時期が近付けば、あの人は殴るのをやめた。 新しい狩りの方法を見つけたからだ。 捕まった私たちはあの人に頭を掴まれ、 熱湯を張った風呂桶の中に、突っ込まれた。 息ができなくて喘ぐ私たちを見て、それはそれは楽しそうに笑っていた。