触れるだけの優しいキス。


はじめてのキスを思い出した。


あの時も、泣いていた。


混乱している私に、不意討ちのキスだった。


キスされて、やっと先生の言葉が真実だって伝わったの。


今のキスもそう。


置いてきぼりにされた心を、慰めてくれる。


唇がわずかに離れて、至近距離で囁かれる。



「菫。

2週間、一緒に勉強して、楽しもう。

きっと、一生の思い出になるからさ。

知ってるか!?

俺が菫の指導教諭になるために、今までこっそり計画的に行動してたんだぞ」


「うん。多分そうだろうと思ってた」


「俺の努力と忍耐力も誉めてくれると嬉しい」


うふふ。いいこいいこ。


先生の頭を、今度は私がなでなでする。