「……もちろん、先輩からですよ。

私からなんて、絶対言えません……」


あらら、真っ赤になっちゃった。


紙コップのほうじ茶をちょっと飲んで、そっと机の上にそれを乗せてから。


スカートのひだをさわって、もじもじしてるの。


もう、『恋する乙女』って感じの風情がたまらない、かも。


「うわ~、なんか美羽ちゃん、すっごい可愛い~っ!

はぐはぐしたくなっちゃうんだけど~っ!!

……って、ごめんごめん。これは先輩も惚れちゃうわ~」



先輩としてみたら、こんなに純情可憐な女の子がひとつ屋根の下に住んでいたら、たまらなかっただろうな。


他の男子もいただろうし、だから即告白しちゃったんじゃないかな、なんて。


この辺りには、都心部にあるような『学生会館』なんてない。


ほとんどの下宿は男女一緒、まれに女子専用もあるけれど、すぐに埋まっちゃうんだって。


高校時代の私の友達も、男女一緒の下宿にいたけれど、夜8時以降はお部屋の行き来を禁止されている程度のところが多い。


下宿のおじさん・おばさんの朝は早いから、修学旅行と違って夜の見張りなんてないし……。


むむむ。やっぱり、すぐにでも『仲良く』なれちゃうよね。