教育実習日誌〜先生と生徒の間〜


「もしかして、同じ下宿に好きな人がいるの?」


思いっきりストレートに聞いてしまった。


だってもう、休み時間はあと10分しかない。


あ、私、お弁当食べてなかったじゃない!!


今食べてしまわないと、多分もう5時まで食べられなくなっちゃう。


う~ん、どうしようかな。


そんなことも考えつつ、美羽ちゃんの答えを待っていたら。



「……実は、下宿先の先輩と、お付き合いしています」


「ええええ~~っ! そうだったんだ!」


こんなに内気で、おしゃべりも苦手な美羽ちゃんとお付き合いできるなんて、きっととっても優しい男の子なんだろうな、と想像した。


あ、それより、お弁当食べないと!


「ごめん、美羽ちゃん、私お弁当食べさせてもらうね。

食べながらお話聞かせて」


あわててお弁当を開こうとしたら。


「……先生、すみません、私……ちょっと用事が」


そう言って、美羽ちゃんはあっという間に、社会科準備室から出ていってしまった。


今の話と行動で、私の頭の中には一つの仮説が生まれた。


これは……私だけじゃどうにもできないよ……。