出席を取る時も、蚊の鳴くような声でかすかに返事をする美羽ちゃん。
きっと、今私に返事をしてくれたのも、相当頑張っているはず。
彼女がこんなに必死に
『誰にも言わないで』と言うってことは。
やっぱり、単なる体調不良ではないよね!?
「わかったよ。でも、心配だから、私もここにいるからね。
落ち着いたら出てきて欲しいな」
「……はい」
中からまた、お弁当箱を片づけるような音と……それから水音。
美羽ちゃんが苦しそうにせき込みはじめた。
どうしよう。誰にも言わないでって言われたけれど、これは絶対に先生も知っていたほうがいいよね!?
こんなところでお弁当を処分して吐いているなんて、内緒にできないよ……。
一つだけドアが閉まったトイレ。
他の個室をぼんやり眺めて考えていたら、あるものに目が留まってもう一つ別の可能性を思い起こさせた。
まさか、ね……。



