美羽編までお付き合いいただき、ありがとうございます。


こちらはあくまでも、作中の『木内美羽』がもし野いちごでノンフィクションを描いたらどうなるか、という、いわば私の実験作です。


ノンフィクションの意味は『虚構を用いず、事実に即して書かれた作品』ということですから、虚構から生まれた美羽は既にこの定義から外れています。



それと、作中で美羽が「自分が赤ちゃんの存在を否定したせいで、切迫流産になったのかも」と悩むシーンがあります。


これも、実際の切迫流産との因果関係はありません。


妊娠初期の流産は、ほとんどの場合が受精卵の染色体異常など、母体とは関係ない原因によって、約10%の割合で起こります。


ただ、これは『美羽のノンフィクション』です。


切迫流産・流産をご経験された方ならきっと思い当たるのではと思います。


自分のせいではないと知っていても、つい「あの時、私があんなことをしたから」と責めてしまうのが、母性なのかも知れません……。



妊娠・出産は色んな奇跡が重なって起こることです。


当たり前ではない、幸せなこと。


元気に産まれて当たり前、ではないのです。


どんな出産にもリスクはつきもので、無事に生まれたら本当に感謝しなくてはなりません。


命の現場で働くお医者さんや看護師さんに、心から感謝しつつ……。


          水瀬 和奏