二人でバスに乗って、まずはスポーツ用品店へ。


バスは病院経由のためか、春休みなのに結構混雑していた。


ずっと漁村で育ってきた私は、路線バスを利用したことがほとんどない。


揺れるバスに立って乗るのは初めてで、カーブの時によろけてしまった。



「あっ!」


バランスを崩した私を、トモアキ先輩がさっと支えてくれた。


先輩の腕が、私のウエストに……。


先輩の顔が、こんなに近くに……。


きっと、あっという間に私の顔は真っ赤になったはず。



「ご、ごめん。ミウちゃんが倒れそうだったから」


「いえ、ありがとうございます……」



ななめ上のトモアキ先輩の顔も、赤くなっているように見えた。


は、恥ずかしい。


でも、すぐに私から離れてしまった先輩に、まだちょっとくっついていて欲しかった、なんて思ってしまった。


バスは市内の中心部へ着いた。


指定されたジャージと上靴を買って、次は本屋さんへ。


すでに袋詰めされた教科書を受け取り、今日の買い物はすべて終わってしまった。


……もう少し、トモアキ先輩と一緒にいたいな。


その願いが先輩に通じたみたい!