「すまなかった。だけど、あと少しの我慢だから。
もう少ししたら……」
「もう少しって、どの位待てばいいの!?
私が大学を卒業したら、すぐにお嫁さんにしてくれるの?
それとも、もっと先?」
「それは……」
明日相談しようと思っていたのだが……。
「これ以上待っていたら、私も虎に変身しちゃうかも知れない!
あと10か月、ずっと離れて暮らしていたら、心配なの!」
俺のTシャツの裾を引っ張りながら、菫が顔を上げた。
泣き腫らして赤くなった瞼や鼻を気にする様子も見せず、ストレートに想いをぶつけられた。
「先生が、私より素敵な誰かに盗られちゃったらどうしたらいいの?
こんなにスカスカの冷蔵庫で、ろくなものを食べてない先生が病気になったら?
先生がもし離れていっちゃったら、私はちゃんと人間でいられる自信がないの!
私の中の虎が暴れ出しそうで、そんな自分が一番嫌!」
また、俺の胸に顔を埋めて、しゃくりあげながらぽつりと言う。
「私、先生に愛されてるっていう自信がなくなっちゃったの。
……2週間、近くにいたのに、とっても……遠かった。
どうしようもなく不安なの……このまま京都に戻るのが……」



