職員室を抜けて、一階へ。


事務室の隣、俺たちヒラ教員はたまにしか入らない、校長室へ。


教頭先生の後に続いて入室。


目の前にはマホガニーの重厚なデスクと、それに負けない重厚な体格の校長先生。


……ご本人も最近は気にしていて、生徒と一緒に体育館上のトレーニングルームでエアロバイクを漕いでたりする。


今年着任されたばかりの、気さくな人柄だが仕事には厳しい校長先生だ。



「さ、松本さん、お座りください」


「失礼します」


促されて、革張りのソファに腰かける。


頭上には、歴代校長と歴代PTA会長の写真がずらり。


教員にとっても、この空間は威圧感バリバリなのだ。



「まあ、楽にしてくださいよ。

教育実習中の忙しい時期にすいませんね~。

どうしても、早くお知らせしたかったものですから」



恵比須顔の校長に、いそいそと書類を渡す教頭。


……どうやら、木内の話ではなさそうだ。


だとしたら、何だろう?


思い当たるようなことは、全くなかった。