「深瀬先生、何でしょうか?」
この学校で一番若い、今年2年目の男の先生。
経験がないという理由で指導教諭からは外されてるけれど、割と話しやすい感じ。
いかにも文系男子って感じの、ちょっと線は細いけど整った顔立ちで、生徒から人気があるらしい。
そういえば先生だって文系男子だけど、どっちかって言うと体育会系に間違われるタイプだもんね~。
「指導案、お疲れ様。
さすが竹森先生にご指導されているだけのことはあるね~。
俺が実習生の時の指導案なんて、酷いモノだったから」
「ありがとうございます。
本当に、竹森先生のお陰なんですよ」
褒めてもらえて、思わず顔がほころんじゃう。
「学級のほうはどう?
松本先生、厳しくない?」
これで2回目だよ、先生のことを『厳しいんじゃないか』って心配されたの。
確かに厳しいけど、そんなに無茶苦茶言われる訳じゃないんだけどな。
「とっても楽しく実習させていただいてますよ。
松本先生は確かに厳しいですけど、丁寧に指導してくださいますから」
「ふ~ん。ならいいけど。
もし、いじめられたり辛かったりしたら、俺に相談して!」
・・・・・・絶対、相談しないけど。
「お気遣い、ありがとうございます。
深瀬先生って、親切なんですね」
「うん。俺、可愛い子には親切だから。
安西先生、俺のタイプなんだよな~」