多分、お姉さまを駅まで送って、その帰りに裕香を乗せて行くところを見られちゃったんだ。
「マツケンと岩谷先生!? マジ?」
「それって、何時ごろ?」
みんなが口々に佐藤さんへ質問する。
「えっと、6時半位だったかな?
二人ともにこにこしながら、仲良く歩いて車に乗ったよ。
もちろん、岩谷先生は助手席に乗ってたし」
「へええ~。マツケンの彼女って、まさか、ねえ?」
「菫ちゃん、何か聞いてないの!?」
突然私に話を振られてあせった。
「二人のことなんて、何も聞いてないよ!」
そう。『二人のこと』は何もないって知ってるから聞くわけがない。
『私と先生のこと』は気づかれていないけれど……これは先生と裕香にとってはまずい、かも。
元々、私が先生に頼んだのがきっかけなんだし、どうにかしないと!
そうだ!
「それに、松本先生の彼女は、岩谷先生じゃないと思うよ」



