しかし、岩谷が言っていることが事実なら、ほっとけない。
去年の実習生もうまくいかず、ぼろぼろの授業だったと聞いた。
菫の頼みだから、ということはもちろんだが、岩谷が気の毒だ。
「了解。断片的にしかわからないが、指導教諭に問題あり、だ。
とは言っても、うちの学校には他に音楽科の教員がいないから、他の学校の教員を当たってみるか」
実は、教科が違うと、他の学校の教員との交流はほとんどないのが現状だ。
そんな中で唯一の心当たり・・・・・・無理を承知で頼んでみることにしよう。
携帯の電話帳から『教務部』のグループを見る。
隣のI高校で教務部だった先生の奥さんは確か、音楽教諭だったはず。
「ちょっと、頼んでみるから黙ってろよ」
俺も、菫と同じように自分の携帯をハンズフリーモードにした。
5回コールで出てくれた。
『もしもし』
「五十嵐さんですか? お久しぶりです、O高校教務部の松本です」
『おお、久しぶり。この間はどうも!』
「こちらこそありがとうございました。
今お時間頂いてもよろしいでしょうか?」
『ん? 何かあった?』
「実は・・・・・・」



