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安西家の今日の夕食は、カレーライスらしい。
玄関に入ると、いい匂いがしてきた。
「先生、いらっしゃい」
「先程はありがとうございました」
「いえいえ。あ、今、菫を呼んで来ますからね」
パタパタとスリッパの音を響かせながら、お母さんがリビングから出て行った。
この家で夕食をご馳走になるのも、もうかなりの回数、かな?
俺の好みを解ってくれているらしく、多分今回も甘口カレーだろう。
二階から足音が聞こえて、菫が降りてくる。
「いらっしゃ〜い!
先生、ちょうど良かった。
チェックして欲しいの」
A4のコピー用紙に印刷された、国語科指導案。
「どれどれ」
渡された指導案にチェックを入れる。
「授業者と指導教諭の名前、もっと隙間を作っとかないと、お互いの判子が重なるぞ。
それから、ここ、評価『基準(モトジュン)』にすること。
『規準(ノリジュン)』とは意味が違うからな」
菫は素直に赤ペンで書き直している。
同じ『キジュン』でもこの二つは意味が異なる。
大抵の教員はこういう所にうるさいものだ。



