病院の玄関から、菫のお母さんが出てくるのを待っていた。
吉川が病院へ向かってから、10分程で外に出てきたところを迎えに行く。
「お母さん、ご迷惑おかけしてすみませんでした」
菫とよく似た、人なつっこい笑顔で
「出世払いでお願いしようかな?」
と、さらりと言われた。
・・・・・・さりげなくプレッシャーをかけられたような。
「話を聞かせて欲しいので、ちょっと乗ってください」
俺の車に案内する。
「それで、木内の様子はどうなんですか?」
「今、妊娠7週位らしいんだけど、まだ赤ちゃんの心拍が確認されていないのよ。
心臓が動いていたら、流産の可能性はかなり減るそうなんだけどね。
まずは、出血が止まって、心拍が確認できるまでは入院が必要だって言われたわ」
「そうですか・・・・・・」
「おうちの方に早く連絡しないと、医療費のこともあると思うの。
MFICUって、高度先進医療を受けることになるお部屋だから、1日当たり2万円位かかるそうよ」
「2万円・・・・・・結構な金額ですね。でも、自己負担分を超えたら戻ってきますよね?」
「ええ。でも、それまでの間はこちらが払わなくちゃいけないし」
・・・・・・金の話もあるから、ますます厄介だな。



