だけど、男同士の話だから、これも伝えといてやるか。
「そんな俺も、一度だけ焦ったことがあったよ。
彼女の生理が1週間遅れてたらしくて、俺に黙って一人で悩んでた。
彼女、泣きながら『どうしても産みたい』って俺に謝ってた。
俺に迷惑がかかることは解ってる、でも、この子をあきらめることなんてできないって。
・・・・・・あきらめるも何も、結局その日の夜に来たんだけどな」
あの夜、トイレから出てきた菫は、泣き笑いしながらこう言ったっけ。
『私、ママになってなかったみたい』
呆然とする俺に、さらに追加。
『コウノトリ飛来回避措置は成功してました』
・・・・・・肩の力が一気に抜けた、今までで一番驚いた思い出だ。
「言っておくが、俺は必ず避妊していた。
まさかとは思ったけど、世の中に100%なんてものはない。
それでも正しく使えば、100%に限りなく近づくはずだ。
ゴムも買いに行けないお子ちゃまが、女を抱くなんざ十年早いわ!」
・・・・・・十年後だったら、きっとみんなから祝福されただろうよ、お二人さん。



