吉川は、さっきからずっと膝の上で手を握りしめて、俺の顔を見つめている。
青ざめて、心なしか震えて、おそらく両手も血が通わないくらい力を入れて握っているんだろう。
・・・・・・こいつ、きっと今までずっと良い子だったんだろうな。
家でも、家族に気を遣って生活して、期待に応えるために必死だったに違いない。
それがいきなり先生に呼び出されて、こんな話されて。
今まで受けたどんな説教よりもショックだよな。
でも、悪いけどこれだけじゃ終わらないぞ。
叱られ慣れていないお前には気の毒だが、今、言わないと。
既に遅いが、これから同じ過ちを繰り返さないために。
今まで誰からも教わらなかったのだとしたら、それを教えるのも大人の役目、か?
・・・・・・これは、教員としてではなく、だ。
「さて。ここからは生徒と教員じゃなくて、男同士の話な。
お前さ、避妊してたか?」
「は、はい、一応・・・・・・」
「まさかとは思うけど『外に出した』とか?」
「そうです、けど・・・・・・」
・・・・・・脱力、だな。
「はああああ~~~・・・・・・お前、勉強はできてもバカだな。
好きな子とそうなる前に、少しは避妊についてググっとけよ!」
盛大なため息と共に、俺は頭を抱えた。



