入り口に置いてある消毒液を手にすりこみ、覚悟を決めて呼び掛ける。
「菫です。入ってもいい?」
「待ってたわ。おいで」
こう答えたのは、お母さん。
入室すると。
ベッドの上で、横向きの体勢で寝たまま泣いている美羽ちゃん。
ベッド横の丸椅子に腰掛けて、美羽ちゃんの背中を撫でているお母さん。
窓のない、狭い個室。
点滴が、ぼたり、ぽたりと落ちていくのに気がついた。
食べられなかったから、栄養と水分を補給しているのだと思った。
「はい。
入院に必要なもの、言われた通りに用意したよ」
「ごくろうさま。
漫画、持ってきてくれた?」
お母さんったら、真っ先に確認するのが漫画な訳?
「お姉ちゃんの本棚から、ギャグ漫画持ってきたよ。
何でなのかよくわかんないけど」



