「これからは、指導教諭として接するから、今だけ、な？」


おでことおでこをくっつけて、先生が笑う。


つられて私も泣き笑いしちゃう。


「たったの２週間だ。

菫が卒業するまで待っていたことを考えたら、短いよ」


あれ？


「先生、確か卒業してから私のことを好きになってくれたんじゃなかったっけ？」


いつから好きなのか聞いたら、いつもそう答えていたのに。


……もしかして、本音が出た？


「……聞かなかったことにしてくれ」


「聞いちゃったもん。嬉しいから絶対に忘れないよ」


「俺としては、教育実習の心構えを忘れないでほしいんだけどな」


「まだ実習は始まっていないのに～」



先生は、また実習の話に戻してしまった。


きっとそれは、照れ隠し、だよね？


私の気持ちを考えて、大事にしてくれる先生。


２週間、周りに気づかれずに教育実習を終えて、無事に単位がもらえるといいんだけど……。


実習はとってもハードスケジュール。


先生になるべく迷惑をかけず、期待に応えられるように頑張るもん。


だから先生、今だけ、もう一度、はぐはぐして欲しいの……。