「まあな。でも大学を卒業するまでは探してみようかと思ってる。だからそれまでは待っててくれよ」

「あっあのねぇ」

いろいろと言いたいことはあったけど、自信ありげな彼の顔を見ていると、何にも言えなくなってしまう。

良い笑顔するようになったな。

僕はため息をついた。

「じゃあそれまでは、半人前だね」

だから僕も笑って見せる。

「まっ、それはしょうがないな。見つかるまでは、何を言っても半人前だし」

「物分りが良くなって嬉しいよ」

「抜かせ」

僕は由月を畳の上に押し倒した。

「すぐに逆転してやるからな」

「ははっ、楽しみにしているよ」

僕はファイルを置いて、由月の頭を撫でた。

…見つからない…とは思う。

けど、もしかしたらという思いもある。

由月なら、成し遂げそうなのが怖い。

そしてその時、逆転されるのも…いろんな意味で怖かった。




けれどそれから3年後、由月は本当に見つけてしまった。

温泉と金を。

おかげで村は大変賑わい、由月は有名人となった。

そして温泉と金を発見したことを盾にして、二番目のお姉さんに後継者の座を本当に譲り渡してしまった。