伯父は絶対由月を手放さない。

それに由月自身も、この土地から離れようとはしないだろう。

「そこまで言ってくれるのは嬉しいよ。でも僕を信じてくれないか? 四年間を我慢すれば、その後はずっと毎日、いつでもキミの側にいられるんだ。その為に僕も我慢するし、頑張れる」

「雅貴…」

顔を上げた由月の眼は、赤く潤んでいた。

僕は苦笑して、由月の頬を両手で包んだ。

そしてゆっくりと近付き、薄く開いている唇にキスをした。

「んっ…」

由月の腕が、僕の背中に回る。

一年ぶりに触れる唇は、やっぱり熱くて甘かった。

「…今の僕は、自信が無さ過ぎなんだ。だから胸を張って、由月の側にいられない。だから修行に行ってくるよ」

「バカ…」

「うん、バカなんだ。由月のことが好き過ぎて、人生を変えてしまうほどの大バカなんだよ」

額と額を合わせ、僕は笑った。

由月は潤んだ眼で、僕を見つめた。

「浮気なんてするなよ」

「しないよ。7年間、ずっと由月に夢中なんだから」

「7年…。オレが小学1年の時からかよ」

「うん。一目惚れだったんだ。由月が男の子だって分かった後も、諦められなかった」