「ええ。それじゃあ食事はできたら持ってくるから」

「いっいいよ、伯母さん。お膳重いし」

「それなら大丈夫。娘の旦那さん、2人もいるしね。気にしないで」

あっ、なるほど。

僕や由月より、よっぽどアテになるな。

「お膳は部屋の前に置いてもらうから。食べ終えたら同じように、部屋の前に出しときなさい」

「うん…」

「分かったよ、伯母さん」

「じゃあね。何かあれば、気軽に言ってね」

伯母は最後まで困り顔で、襖を閉めて行った。

「カッコ悪いな、オレ…」

「そんなことないよ」

僕は彼の側に寄り、細い肩を抱き寄せた。

「由月も伯父さんも、叶えたい願いと夢がある。だけどお互いにすれ違っているだけ。分かり合える時は、必ず来るよ」

「ああ…そうだと良いな」

素直に僕に身を寄せる彼を見て、また胸が痛む。

こんなに弱っている彼に、更に追い討ちをかけるのは、僕なんだ。

暗い気持ちのまま、由月を抱き締める。

由月は疲れていたらしく、眠ってしまった。

「由月…」

あどけない寝顔を見ると、胸の奥が熱くなる。

唇に視線を向けると、思わず思い出してしまう。

この唇の熱さと甘さを…。