僕と彼が出会ったのは、僕が小学4年生で、彼が小学1年生の時だった。

両親に連れられ、母方の実家にはじめて行った時だった。

当時、僕の学校は夏休みに入ったばかり。

いつもは父方の実家に行くのだが、母方の実家には行ったことがなかった。

理由は母が田舎を好きじゃなかったからだ。

母の実家は昭和時代で時が止まっているような村で、豊富なのは自然ぐらいだと母が苦笑しながら言っていた。

だけど今回、さすがに実家の家族から、顔を見せろとの催促が来たらしい。

さすがに10年以上、実家に帰っていないことをマズく思ったらしく、今回の夏休みは母方の実家で過ごすことになった。

僕は少なからず、楽しみだった。

僕の住んでいる街は都会だし、父方の実家も田舎ってほどじゃなかった。

だからか、大自然に憧れを抱いていた。

それにまだ顔も見たことがない、親戚達に会うのが楽しみだった。

何度か電話や手紙・ハガキなどでやり取りしたことがあるぐらいで、交流がほぼ無かったから。

でも実は、この帰省にはちょっと裏があった。

聞かされたのは、すでに新幹線に乗り、電車に乗り、バスに乗り、タクシーを乗り、実家の邸に向かって歩いている途中だった。