サマーにはケアンズとは大違いのこの場所
がイヤでしょうがないみたいだった。

確かに街はダーティーだし、今泊
まっている部屋もゴキブリが出る始末。

男俺一人だったら刺激的で良いかも
しれないが、女にとっちゃストリップ劇場
なんて「悪」でしかないのだ。

サマーの強い希望で次の日、
他の場所を探す事にした。

その日は天気がよく気持ちいい朝だった。

着替えて駅へ向かった。

駅は想像していたもの
とは違い地下鉄になっていた。

切符を買おうと駅員にサマーが訊ねた。

しばらくしてサマーが俺に聞いてきた。


「電車もバスもフェリーも
乗れるヤツにする?」


「いくら?」


「$20」


「$20か・・・」


1400円払ってフェリーに乗らなくても
いいだろうと思っているとサマーが


「一週間でだよ。」


「なぬっ!」


なんと一週間で電車、バス、フェリーが
乗り放題で1400円!

その安さに興奮し、
俺は訳のわからないことを叫んでいた。


「ど、ど、どこで売っているんだ!」


サマーは呆れた感じで


「ここだよバカ!」


平静さを装いながら$20札と差し出した。

するとサマーから赤い「トラベルパス」
を手渡された。