三つの月の姫君

 青年ははた、と気がつく。


 いつの間にかウィリスを追って一人きりになってしまった。


 辺りは濃密な薔薇の香りが立ちこめていた。


「違いがわかるほど知っているわけじゃないけど、いかにも秘密が潜んでいそうだ……」

 
 いうなり、青年は昏倒してしまったようだ。