モテ男と地味子の初恋物語

「何でここで待ち合わせる事にしたんだ?」

私が横に並んで歩き出すとすぐにそう聞かれた。

「それは…何となく」

「違うだろ? 人に見られたくないからだろ?」

「え、うん。実はそうなの」

「今日の事、みんなに聞かれたのか?」

「うん、少し」

「だろうな。人の事は放っておけばいいのに、みんな噂好きって言うか…」

「桂木君も聞かれたの?」

「親友の片山圭介だけな。他の奴らも知りたがってたみたいだけど、無視した」

無視か…。私にもそういう強さがあればなあ。

「俺と噂になるのは嫌か?」

「え? ん……嫌かも」

また女子達にジロジロ見られたり、陰口を言われるのが嫌で、私はそう答えた。

桂木君は「そっか…」と言ったきり、何も話し掛けて来なかった。私も何を話せばいいか分からなくて、二人とも無言で歩いた。

時折、人や自転車が右側をすれ違う時、桂木君はぶつからないように体を避けていた。

だから桂木君は私を左側にしたのか…