「ごめん」

「もう…、知らない!」

「でもさ、”妙薬は口に苦し”っていうだろ? バッチリ消毒出来たと思うぞ」

「それは飲み薬の話でしょ?」

「あ、そうか…」

「桂木君ったら…、うふふ」

女子が、笑った。

涙が溜まった目を細くして、ニコッと笑う女子を見て、俺はとても…可愛いと思った。


なぜか胸がドキドキして息苦しくなった俺は、背筋を伸ばして深呼吸をしてから、さっきから気になっている事を聞いてみる事にした。

「あのさ、君は俺の事、知ってるの?」

「うん。だって、桂木君は有名だもん」

「そっか。でも俺は、悪いんだけど君の事は…」