「痛む?」

「うん。まだ少し、ズキズキする…」

「猫に引っ掻かれると痛いんだよなあ」

「桂木君もよくやられるの?」

あれ?
この女子は、俺の事を知ってるみたいだなあ。

「ああ。もうしょっちゅうだよ。こことか、こことか…」

俺は腕の何箇所にも残った白い傷跡を女子に見せてやった。

女子は「へえ〜」とか「うわ〜」とか一々驚いてくれたので、調子に乗った俺は、ワイシャツのボタンをバッパッパと外し、胸を開いて真新しい、まだ赤い引っ掻き傷を見せた。

「これ見てくれよ。酷いだろ? 昨日、俺が寝てたら、ミイって猫が俺を踏み台にしやがったんだ。流石の俺も切れたよって…どうしたの?」