「まあ、それはね…。でも、おかげでスッキリしたというか…」

明日香にしては珍しく口ごもって、何が言いたいのかよく分からなかった。

あ、そうだ。あれを言わなくちゃ。

「明日香、よかったね?」

「え?」

「願いが叶ったんだね?」

私、ちゃんと笑えてるかな…

「何の事よ?」

「え? だって、桂木君としてたじゃない。き、キスを…」

キス、という言葉を口に出す恥ずかしさと共に、胸がズキンとして痛かった。

なんか、また涙が出てきそう。さっき、いっぱい泣いたのに…


「あちゃー、見られた?」

「しっかりと」

「うわあ、恥ずかしいなあ。桂木君に腹が立って、気付いたら彼の唇、奪ってた。えへへ」

「え?」