モテ男と地味子の初恋物語

「ねえ。紬って誰?」

「え?」

「新しい彼女?」

「違うけど、何で紬の名を…?」

「あなたがさっき、うなされながら呼んでたのよ」

俺が、紬の名を?

「あなたが寝言で女の子の名前を言うの、初めて聞いたわ」

「紬は、この間喫茶店に来てた子だよ。すぐ帰ったけど」

小枝子は一瞬考える素振りをした。

「ああ、あの子か…。可哀相に、泣いてたわよ」

「紬が、泣いてた?」

「そうよ。あれは何だったの? 三角関係? あの子はきっと…」

「何でだろ…?」

なぜ紬は泣いたんだ?
そう言えば、俺にまだいてくれと言った時、泣きそうな顔に見えた。

俺の事、泣くほど嫌いなのか?
いくらなんでも、それはないだろう。だったら、なぜ?

不意に小枝子が俺を離し、ベッドから降りていった。