「ちょっと待ってください。子猫ちゃんを置いては行けません」

女子は、子猫をどうするか考えていたらしい。

「連れて行けばいい」

俺はそう言い、子猫を片手でひょいと掴み上げ、もう片方の手で俺のバッグのファスナーを開けた。

バッグには体操着が入っていて、その上に子猫を乗せたが、手を引いた時に子猫の爪で指を引っ掻いてしまった。

「痛え…」

「大丈夫?」

女子が心配そうに俺の指を覗き込んできた。

「ちょこっとだから、大丈夫」

「あなたも消毒しなくちゃね?」

「いや、これで十分」

俺は子猫に引っ掻かれて、うっすら血がにじんだ指をペロッと舐めた。