「桂木君はよくここに来るんですか?」

桂木君がウェイトレスさんにコーヒーを頼むと、すぐに明日香は会話を再開した。

私は桂木君を見る事が出来ず、俯いて紅茶を見詰めながら、帰るタイミングの事だけを考えていた。

明日香が猫の話を始めた。たぶんパーシーの話になるだろう。

パーシーは、私と桂木君をつなぐ唯一のものだと思うから、桂木君が明日香にパーシーの話をするのを私は聞きたくないと思った。

気が付いた時には、私は既に立ち上がっていた。あまりに唐突とは思ったけど、もうここにいるのは限界だった。

「用事があるので、私はこれで失礼します」

何とか平静を装って私がそう言うと、「俺も帰るよ」と桂木君が言った。