「はあ?」

「行ってちょうだい。ついでにお父さんのウィスキーもお願いね?」

「お袋さん…」

「あ、琢磨。リンスも頼むわね?」

憮然とする桂木君に、追い打ちを掛けるように、「私に逆らうと…」とお母さんが言うと、「分かったから」と桂木君は観念した。

だったらこのタイミングで私は帰った方がいいだろうと思い、「じゃあ私も…」と言って立とうとしたら、

「紬ちゃんはまだいいじゃない?」

と亜希子さんに言われた。

「よろしかったら、ゆっくりしてらして?」

と、お母さんからも言われてしまった。

『まだ帰らせないわよ』というオーラが二人から出ていて、私は座り直すほかなかった。