平穏は暮らしをしている中で、一人の子供が生まれる。



彼は生まれながらに才能を操ることができた。




人々は子供を神の子とした。




神の子は二十歳になったとき、村の者に言ったそうだ。
 



『私は特別な人間ではない。皆一人一人に見えざる力を持っているのだ』




皆は神の教えに従い、自身の持つ力を開花させようと日々訓練する。




一人が力を開花させ、次々に力を開花させることができた。






人々に夢を与えた神は自分の役目が終わったことを悟り、命と引き換えに滅んでしまった文化の記憶を一人の男に与えた。





男は神から与えられた記憶から滅んだ世界を再構築することを生涯に捧げた。




絵を書き、文字を書き、人から人に技術を伝授した。






反対するものはいなかった。



神が与えたことなのだから間違いはないと人々は確信した。






神が望んだ世界は五十年で完成させる。



人々が持つ才能によって作業は簡単であった。