「僕は何をしたんですか」


「彼の能力を真似したんだ」


「真似ってなんですか」


「彼の能力と同じことができたんだ」


「どうやって…」


「それはわからない。私たちに使った念力の一種と考えられる」


「浮かせたものはどうなったんですか」





「浮かびながら止まったんだ。
彼がどんなに力を入れても止まった場所から動かすことはできなかった。
さらに、浮かんでいる毛布を君の方に持っていき、体を覆った。
あのとき、ほとんど裸だったからね。
無意識でも何か着たかったんだろ」





「そのあとどうなったんですか」




「ドアはもともとロックしていてね。
入口か出口にあるボタンを押さないと開かない仕組みになっていたんだ。
だが、君は手を使わずにドアを壊したんだ」




「どんなふうに…」




「ドアが砂のようになってしまった。
今だからわかるんだが、あれは『分解』したんだ」




「そんなことを…」




「そのあとはお亡くなりになった御両親のところまで歩いて行った。
御両親の死体もここで預からせてもらっていたからね」



「…」



「しばらくすると、君の念力が消えたんだ。
急いで君を捜しに行ったら、御両親の死体の前で倒れていた。
そのあとは君に話した通りだ」



「僕が無意識にそんなことを」




「これが本当の話だ」





僕にそんな能力があるなんて知らなかった。自分が怖くなった。











「さて、私の話はここまでだ、神山君の話を聞こう」



そうだった、ナナミのことを聞くんだった。









「森下先生、なぜナナミを知っているんですか」