才能に目覚めた少年

山本が僕に話を振った。




「秘密」




僕は即答で答えた。



「ミコトはまだ目覚めてないのよ」


辻本が僕のことを話した。






クラスの中で僕が能力に目覚めてないと知るのは伊藤と辻本の二人だけだ。


でも今日で三人になった。



「なんだ。もう全員開花してると思ってた。ゴメン」


「別にいいさ」


謝られても僕は傷つかなかった。





僕は森下先生以外の人には能力を開花していないことにしていた。




別に皆に言ってもいいが、使い道もないし、使うと色々面倒なことになるからだ。





問題が起きるなら、起こさなければいい。





だから僕は教えない。



「でも、早く開花しないとまずいんじゃないか、将来のこととかもあるし…」


「いいんだ、なんとかなるよ…」






早くこの話題が終わらないかと思った。





「まあまあ、二人ともそんな暗い話をするよりも俺を祝ってくれ」





どうでもいい話だったから話題を変えようとしたのか、僕のことを考えてくれたのかは知らないが助かったよ。




「ほら、暗い顔をするなよ。さあさあ、盛り上がっていこう」






僕たちは水の入った飲み物を片手に乾杯をした。







ちょうど、乾杯が終わると白崎ナナミが来た。