かけがえのないもの

隼人の目にも、涙が溢れてきていた。

意識しなかったとはいえ、瑠奈の気持ちを踏みにじってしまったことへの後悔の涙。

瑠奈に対する、謝罪の涙。

「瑠奈…ごめん…瑠奈…」

力強く、それでいて優しく、隼人は瑠奈を抱きしめた。

「お兄ちゃん…」

「瑠奈は、ずっと…お兄ちゃんのこと、大切に思っててくれたのに…お兄ちゃん、瑠奈が近くにいること、当然だって思ってた…」

隼人の頬を、大粒の涙が濡らしていた。