かけがえのないもの

このことは、見なかったことにしてあげよう。

でも、この光景は、しっかり目に焼き付けておこう。

瑠奈の思いに応えられるように、

瑠奈の涙を無駄にしないように、

瑠奈がもっと尊敬できるお兄ちゃんになろう。

待ってて、瑠奈…

お兄ちゃん、もっと頼もしくなって、

もっと強くなって

瑠奈のこともっと喜ばせられるようになるから…

だからどうか、

悲しまないでほしい。

隼人は無理矢理引きはがすようにその場を離れ、

堪えていた涙をそっと流した。