かけがえのないもの

この感覚も、久しぶりだった。

幼い頃から、瑠奈が泣き止まない時は抱きしめていた。

そのまま隼人の腕の中で寝息を立てていたことも。

その度に隼人は、瑠奈のことを何がなんでも守ってやる、という気持ちになった。

「お兄ちゃん…ほんとに優しい…小さい頃から…ずっとこうやって、私の事、喜ばせてくれる…ほんとに…ほんとに、ありがとう。」

「お兄ちゃんとして当然の事してるだけだよ。…それに、謝らなきゃならないのは俺の方だから…」

「え…?」

瑠奈は不思議そうに顔を上げた。