かけがえのないもの

「ありがとう。大切にするよ。」

隼人は指輪を眺めながら微笑んだ。

「うん!…あのね、お兄ちゃん。」

瑠奈は立ち上がると隼人の隣に移動して腰を下ろした。

「どうした?」

オルゴールのネジが止まり、辺りは異常なほど静かになった。

「このオルゴールと指輪はね?子供の頃のお礼なんだ…」

「お礼?」

「覚えてる?私が7歳になった時の誕生日…」

瑠奈は隼人の肩に頭を乗せた。隼人は少し落ち着かない気分だった。
これほど間近で瑠奈の顔を見たのは久しぶりだった。

「7歳の誕生日…」

隼人は記憶の糸を辿った。