「瑠奈が、待ってるわよ…」

母の言葉に頷き、隼人は家の中に足を踏み入れた。

瑠奈の部屋の前で足が止まる。

昨夜、瑠奈と過ごした最後の時間のことが頭をよぎる。

父と母は、隼人の顔を見て、励ますように頷いた。

隼人は、ドアのノブに手をかけ、開けた。

瑠奈は、ベッドに横たわっていた。

目を閉じて、両手をだらりと下げて…

その顔は、ただ眠っているだけのように安らかだった。